新型コロナウイルス対応で初めてのWeb面接!
その実情と課題とは
公開:2020年8月26日
今なお世界各国で猛威を振るう新型コロナウイルス。国内で感染拡大のピークを迎えていた4月頃はちょうど新卒採用活動の最盛期。面接延期を余儀なくされる企業も少なくない中、QTnetはWeb説明会やWeb面接を導入し、予定通り2021年卒業者の採用活動を終えました。新型コロナウイルスの影響によって初めてWeb採用に挑んだ人事労務グループの担当者に、Web面接の実情や今後の課題について話を聞きました。
目次
1. Web採用成功のコツは新・採用戦略にあり
コロナ禍で各企業に混乱が生じる中、採用活動をスムーズに進められた背景について、人事労務を担当する取締役上席執行役員・上野正は「3年前から始めた採用戦略改革の存在が大きい」と話します。「QTnetは通信会社として九州のインフラを守る人材を長らく求めていました。近年は、AIを活用した無人店舗やeスポーツなど多様な新規事業に挑戦するにあたって、従来よりも独創的な人材を求めるようになり、募集内容や選考スタイルの変更、リクルーター制度の導入などにより採用戦略を見直しました」。
多様な人材にアプローチするため、2019年夏にスタートアップ事業を体験できるインターンシップを実施。台風の影響もあり、一部をWeb上で行うワークショップに切り替えたり、現地調査やアンケートなどの調査もWeb上で行ったり、採用活動でWebを活用する経験値を積んでいきました。
人事労務グループ副長・西本房永は「社員のやりがいや、働き方を紹介した採用HPの刷新、会社説明会の多様化、インターンシップの変更、リクルーター制度導入などにより、QTnetを志望する学生が年々増加しています。これまでは地元のインフラ系や銀行系企業を併願する学生が多くいましたが、最近では商社や製薬会社など今までと違う業種で迷っている学生が増えており、学生が興味を持つ企業も多様化している実感があります」と改革の成果を話します。
こうして新しい採用戦略に手応えを感じていた矢先、新型コロナウイルス感染症の流行が国内で始まりました。
2. コロナ禍で急遽対応!初めてのWeb面接&Web会社説明会
QTnetの本社がある福岡市に緊急事態宣言が発令された4月初旬は2021年卒の採用活動の真っ最中。採用活動で大きな影響を受けたのが「会社説明会」と「面接」でした。
2月中旬に行われた大規模就職説明会への出展以降、大型の説明会は全て中止に。「説明会で出会う学生は年間1,000名ほど。その機会を失えば大きな痛手となります。そこでWeb会社説明会として自社Webサイトに動画を掲載することに。動画の制作はグループ会社のQTmediaに依頼し、発案からわずか1週間で公開にこぎつけました」。西本は採用活動への影響を最小限に留めるためにWeb説明会の企画から制作までを早急に手配し、公開にこぎ着けたのです。
また、4月下旬に行われた一次面接は、書類選考を通過した受験者約200名を全てWeb面接に変更。緊急事態宣言解除後の最終面接も基本的にWeb面接とし、県内の学生に限ってはWebと対面のどちらも選択できるようにしたところ、Web面接を選ぶ学生が6割とやや多くなりました。
実際にWeb面接を導入した結果について、面接を担当した人事労務グループ主任・吉満俊孝は「目標としていた採用数は達成することができ、選考結果に大きな影響はなかったと感じています。とはいえ、Web面接は初めての試みで、運用から学生のフォローまでとても緊張感がありました」と振り返ります。スムーズにWeb面接を行うため、面接官と学生の両方を技術面でサポートする体制をとり、面接の15分前には学生に電話をして緊張をほぐすといったフォローも欠かさなかったのだそう。
Web面接の1番のメリットは「時間と場所を選ばない点にある」と吉満。場所や時間の制約が少なくなることで、一次面接の辞退率が下がった効果もあったと言います。「迅速にWeb対応できているという通信会社らしさを学生にPRできた点もよかったです。また、マスクが不要なWeb面接の方が表情をしっかりと見せられてよいという学生の声もありました」と西本は明かします。
一方、Web面接のデメリットには、接続環境によるトラブルが挙げられます。面接でインターネットの接続が悪く音声が途切れた場合には、面接の順番を入れ替えて対応しました。西本は「学生の志望度を確認するためには、面接以外の時間も重要です。これまでは控え室での振る舞いや雑談などからも把握していましたが、Web面接ではそれができません。そのため、面接の時間を通常より長めに設定したり、質問内容を工夫したりして、コミュケーション能力などの本質を見極められるよう気を配りました」と初めてのWeb面談において工夫した点を振り返ります。
2022年以降の採用に向けて、「学生の所作など、Web面接だからこそ確認すべきポイントがあると意識できていなかったので、今後は採用へ関わる社員とポイントを共有していきたい」と吉満はWeb面接の課題を話します。
3. withコロナ時代は、Webと対面の良さを活かしたハイブリッド型採用活動を!
新型コロナウイルス感染症の収束は見通しが立たず、今後もQTnetはWebを活用した採用活動を続けます。現在はZoom(Web会議ツール)でワークショップをするWebインターンシップを計画しており、西本は「今までのインターンシップは対面で1日かけて行っていましたが、Web上で長時間の拘束は難しいため、よい開催方法を検討しています」と話します。
入社3年目にして人事労務グループに異動した古賀彩花は、「自分自身の入社の決め手となったのが、人事部の社員との会話でした。Web面接に変わって伝わりづらくなった社内の温かい雰囲気や人のよさなどを工夫して伝えていきたい」と語ります。
「Webは遠方の学生をフォローするには有効ですが、直接会って正面から向き合うことも大切。状況に応じて対面する機会も充実させたい」と吉満。西本も「新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑みながら、Webと対面の両方を活用したハイブリッド型の採用活動を続けていきたい」と締めくくりました。
4. 変わるのは採用だけじゃない。テレワークが前提の新しい働き方へ
新型コロナウイルスが感染拡大する中、採用活動だけではなく社員の働き方にも大きな変化がありました。以前からテレワーク制度はありました。緊急事態宣言以降、契約社員や派遣社員も含む全社員を原則テレワークとし、どうしてもテレワークができない部署以外の75%の社員がテレワークを行いました。
6月にテレワークについて社内アンケートを実施したところ、満足度が高く生産性も落ちていないという結果に。また、9割の社員がテレワークの継続を希望していることもわかりました。人事労務グループのグループ長(当時)である楠田有史は、「今後もテレワークを主体とした、これまでの前提を覆す働き方を考えています。QTニューワークスタイルのガイドラインを示し、部署ごとに最適な働き方に取り組みたい」と今後の展望を語ります。
一方でテレワークによって見えた課題も。楠田は「コミュニケーションがとりづらいという声が上がっています。特に人事異動の直後は引き継ぎやOJTが難しいため、やり方を工夫していかなければなりません」と指摘します。ニュースサイト形式の社内ポータルサイトに全社員が投稿できるようにし、情報共有を進める取り組みも始まっています。
「部署の取組や勉強会など、ナレッジに関してもオンラインは受講者数の制限がなく、大多数での一斉受講ができる、チャットを活用すれば質問内容も確認しやすいなどメリットがあります。九州において先進的な働き方を進め、情報発信をしていきたいです」。テレワークが前提の新しい働き方の推進について、楠田はそう強調しました。
テレワーク中心の新しい働き方への挑戦は続きます。
以上、コロナ禍におけるQTnetの採用活動についてお伝えしました。Web面接などを検討中の企業様にとってご参考になれば幸いです。