インターネットエクスチェンジ(IX)とは?
仕組み・メリットをわかりやすく解説
公開:2022年1月31日
オンラインゲームや動画配信コンテンツの利用増加に加え、ビジネスにおいてもテレワークやビデオ会議の増加により、「増大したインターネットトラフィックにかかる費用を抑えたい」というニーズが年々増加しています。低コストで高品質なインターネット接続環境を整えるためには、インターネットエクスチェンジをうまく利用することが重要です。
ここでは、インターネットエクスチェンジの概要や仕組み、インターネットエクスチェンジを利用するメリットについて解説します。この記事を通して、昨今のトラフィック増加にあわせたインターネット接続への理解を深めましょう。
目次
1. そもそも「インターネット」の仕組みとは?
インターネットエクスチェンジの説明に入る前に「インターネット」の仕組みについて解説します。
インターネットとは、各組織が所有するネットワークであるAS(自律システム)が相互に接続された集合体です。ASは「Autonomous System」の略で、統一された運用ポリシーによって管理されたネットワークの集まりを意味し、 BGPというプロトコルにより接続される単位となります。 このAS間で経路情報の交換をおこなうことにより、 インターネット上での効率的な経路制御を実現します。ASは16ビットの数字を用いたAS番号によってインターネット上で一意に識別され、 日本ではJPNICが割り当てと管理をおこなっています。
固有のASを持たない組織がインターネットに接続するには、インターネット回線を経由して、企業や個人向けにインターネットに接続するサービスを提供している「ISP(インターネットサービスプロバイダ)」を利用する必要があります。通常、規模の大きいISPのネットワークは固有のASを形成しているため、ISPを窓口にすることによって他の組織と通信できるようになります。
2. インターネットエクスチェンジ(IX)とは
インターネットエクスチェンジ(IX)とは、「インターネットトラフィックの交換を可能とする相互接続ポイント」です。ISPやコンテンツプロバイダー、ホスティング事業者、クラウド事業者など様々な事業者がインターネットエクスチェンジで接続され、トラフィックのやりとりをおこなっています。
インターネットエクスチェンジを利用しない場合、各事業者はお互いに個別の回線を準備し、相互に通信可能な環境を作り出す必要があります。インターネットエクスチェンジに各事業者の接続点が集約されることで、インターネット上の通信がスムーズかつ安定的に維持されているのです。
2.1. トランジットとは
トランジットとは、ISPなどの多くの経路情報を持つASが別のASに対して経路情報を提供する接続形態です。 ISPはTier1からTier3までのランクがあり、Tier1が最も多く経路情報を持つ上流のISPとなっています。小規模な下流ISPはこのトランジットという接続形態で上流ISPから経路情報の提供を受けています。
2.2. ピアリングとは
ピアリングとは、AS同士が個別に交渉・合意をおこない、経路情報を交換する接続形態です。 ピアリングには、各ASが個別に二者間でピアリングをおこなう「プライベートピアリング」と、インターネットエクスチェンジを通して複数の通信事業者とピアリングをおこなう「パブリックピアリング」の2種類があります。
2.3. プライベートピアリングの仕組み
プライベートピアリングは、AS間で専用回線などを用い、直接2つのネットワークをつないで経路交換をおこなう仕組みです。プライベートピアリングではピアリングをおこなうASごとに専用回線などを用意する必要があります。
2.4. パブリックピアリングの仕組み
パブリックピアリングは、インターネットエクスチェンジ事業者が準備したスイッチ上で複数のASが接続され、個別に交渉・合意したASの間でピアリングをおこなう仕組みです。
プライベートピアリングのようにピアリングをおこなうASごとに専用回線などを準備する必要はありません。インターネットエクスチェンジの事業者が入ることにより、複数のASを効率的にピアリングすることが可能となります。
3. インターネットエクスチェンジを使用するメリット
ここからは、インターネットエクスチェンジを使うことでどのようなメリットが得られるのかを解説します。
3.1. コストの抑制
トラフィック量が増加している昨今、従量課金であるトランジット接続では回線通信費が高額になる可能性があります。また、複数の事業者同士がそれぞれ回線を用意してプライベートピアリングをおこなうというのはあまり現実的ではありません。
一方、インターネットエクスチェンジを利用すれば、複数事業間で効率的にピアリングをおこなえます。
また、トランジットとインターネットエクスチェンジを利用したピアリングを使い分けることで、増加するトラフィックに対するコストの抑制も可能です。
3.2. 遅延の解消、ハイパフォーマンスの実現
インターネットエクスチェンジがあることで、必要な通信先に対して安定的かつ最適な経路を選択できるようになります。その結果として低遅延かつハイパフォーマンスな通信環境が実現します。
3.3. セキュリティ対策
インターネットエクスチェンジでは、一つのアクセス回線を利用し複数の事業者とセキュアに接続できます。プライベートピアリングのように複数の専用回線などを用意しなくてもセキュアな環境を構築することが可能である、というのも大きなメリットといえるでしょう。
4. QT PROで低遅延・高品質なインターネット接続環境を実現
QT PROでは、インターネットエクスチェンジ事業者への接続をサポートするソリューションを提供しております。アクセス回線からIXへの接続サービスまでの全区間をトータルサポートすることも可能です。
QT PROは、東京、大阪に続き、福岡で初のインターネットエクスチェンジ事業者との接続サービスを提供しています。福岡でインターネットエクスチェンジ事業者との接続が可能になったことで、インターネットエクスチェンジとの接続点の選択肢が増えました。すでに東京や大阪でインターネットエクスチェンジに接続されているという方も、福岡で接続できるようになることで、より安価で高品質なインターネット接続環境が構築できる可能性があります。
インターネット接続やデータセンター、インターネットエクスチェンジへの接続において、それぞれ別事業者のサービスを利用していることで無駄なコストが発生している場合もあります。QT PROのトータルサポートなら、そうした無駄なコストを削減できるかもしれません。ぜひこの機会に見直しを検討されてはいかがでしょうか。
5. まとめ
今回は、インターネットエクスチェンジ(IX)の概要と仕組み、メリットについて解説しました。
【インターネットエクスチェンジ(IX)】
「インターネットトラフィック交換を可能とする相互接続ポイント」です。
インターネットエクスチェンジを利用することで、各AS同士が効率的にピアリングでき、低コストで遅延の少ない高品質な通信環境を構築できます。
この記事を参考に、インターネットエクスチェンジを上手に活用し、低コストかつ高品質なインターネット接続環境を実現してください。