事例から学べ!働き方改革のプロセスと大切な要素とは
公開:2019年4月25日
1 働き方改革とは?成果をあげている具体的事例
「一億総活躍社会」を目標に掲げ、官民一体となって進められている働き方改革。ただ、働き方改革と言っても課題は企業によって異なり、取り組むべき施策もそれぞれだ。今回は働き方改革で成果を挙げている2社の事例について見てみよう。
1.1 サントリー ホールディングス
1.1.1 働きがいのある会社2位、現場の改革リーダーとIT活用で残業時間を10%以上カット
企業リサーチサービスVOLKERSによる「働きがいのある会社2018」ランキングにおいて、前年の27位から2位に大きくランクアップしたサントリーホールディングス(以下サントリーHD)。同社ではいち早くワークライフバランスを含むダイバーシティ経営の実現に取り組んでいる。2010年から原則コアタイムのないフレックス勤務や、10分単位で利用できるテレワーク勤務などフレキシブルな働き方を導入。2017年には、次の3つの施策を柱とした「働き方ナカミ改革元年」と定め、さらなる取り組みが行われている。
1.1.2 IT活用を軸としたBPR(business process reengineering)の更なる推進
ビジネスプロセスを抜本的に見直し、高性能TV会議システムによる遠距離コミュニケーション変革などを推進。2010年から推進しているテレワークは社員2,000人以上が利用、「制度を当たり前に使える」体制が浸透している。
1.1.3 働き方改革推進リーダー制度
全部署に働き方改革の推進マネージャーやリーダーを選出、配置。現場目線で現場メンバーと現場主体の改革を実践している。制度開始初年度から10%の残業時間削減に成功。
1.1.4 ナレッジ創出・展開の強化
同社のスローガン「やってみなはれ」をかけたネーミングの働き方改革専用サイト「変えてみなはれ」を2017年にオープン。働き方改革の好事例を素早く共有している。
同社ではそのほかにも、さまざまな社員の働くモチベーションを高めるための施策を実施している。
1.2 ジョブサポートパワー
1.2.1 中小企業でもできる!ICT活用で障がいを持つ従業員も在宅勤務が可能に
人材派遣・紹介マンパワーグループの子会社、ジョブサポートパワー。同社では障がいを持つ人への就職を支援しており、同社で働く社員の多くも、自身が障がいを持っている。そのような中で同社では約半数にあたる社員がテレワークによる在宅勤務をおこなっている(2015年現在)。同社ではテレワークのルールを明確化し、円滑な業務の推進・ワークライフバランスの実現を可能にしている。具体的なルールを紹介しよう。
1.2.2 テレワーク実施時の始業・終業ルール
在宅勤務に多い裁量労働制ではなく「労働時間制」を採用、Skypeなどを活用して始業や朝礼・予定共有・終礼など、音声機能も利用しながらリアルタイムに実施。
1.2.3 テレワーク実施者をサポートする業務上の体制・ルール
在宅勤務専属の支援チームを設け、在宅勤務者のヘルプデスク的な業務を担う。こちらもSkypeを活用してリアルタイムで情報共有を可能としている。また、テレワークを円滑に推進するために書類をPDF化するなど、さまざまな工夫をしている。さらに、人員や業務の見直しなどを部門リーダーが定期的に実施し、制度や業務が固定化されないようにしている。在宅で集中して業務に取り組めることから、在宅業務件数の伸びは約37%と生産性も向上した。
2 上記成功例が示す現在の働き方の問題点
働き方改革で成果が見られたこれらの2社は企業規模や業種なども全く異なるが、働き方改革の取り組みにおいては共通点がある。それらの共通点から、現在の働き方の問題点が見えてくる。
2.1 労働環境が改善されないと社員のモチベーションが低下=競争力低下や他社への流出を招く
企業が利益を上げるための「優秀な労働力の確保」は、今後各企業にとって大切な経営課題の一つだ。転職サービス会社DODAによれば、2019年1月現在の転職市場の有効求人倍率は2倍以上と企業の採用意欲は高い。優秀な人材にはヘッドハンターから声がかかるか、自らより活躍できる場を求めて他社への流出がしやすい状況と言える。
先に紹介した2社は、働き方改革によって勤務場所や時間など「物理的な壁」が取り払われ、「多様な働き方が当たり前」の風土が浸透している。そのため出産や子育て、介護などの事情でも仕事を辞めることなく続けることができる。またITツールだけでなく、現場目線のリーダーやサポート人材を配置し、ITとリアルコミュニケーションをうまく組み合わせていることもポイントだ。
多様な働き方ができないような職場環境では、仕事を続けるのが困難な状況となったり、社員のモチベーションが下がる。そうなれば優秀な社員は去り、ひいては市場競争力も下がっていくだろう。
3 労働環境の改善にはワークスタイルの改善が必須
それではこれから働き方改革に取り組む企業は、どこから着手すべきだろうか。
3.1 まずは課題整理とゴール設定、必要なツール選定を
まず必要な課題を整理しゴールを設定しよう。多くの場合、働き方改革のゴールは「生産性アップ」。そのためには多様な人材がモチベーションを持って働くことのできる労働環境が必要だ。
労働環境を整備するために有効なのがITツール。ITツールやサービスも多種多様だが、その中でもセキュリティが万全なサービスを紹介しよう。
3.2 低コストでリモートワークが可能な「RemoteView」
「Remote View」は場所やデバイスを選ばず、オフィスにあるパソコンの遠隔操作を可能にするツールだ。ASPなので面倒なインストールは不要、必要な台数分だけ契約できる。パソコンだけでなくスマホやタブレットからもアクセスでき、どこにいても・どんな端末からもオフィスにあるデータへアクセス・作業をすることができる。
セキュリティ面ではOTP認証(ワンタイムパスワード)で2重のセキュリティ対策ができるほか、外部からのアクセスは遮断できるなど、万全を期している。「Remote View」は、高いコスパでリモートワークを実現することができる強力なツールと言える。